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「菅内閣不信任決議案」まとめ。そして、日本人のほんとうの敵

 ★今回の更新は、めまぐるしかった六月一日~二日の政局の(つっこみ付き)まとめです。備忘録としておいておきますので、「何があったか良くわからんかった」という方、ご参考にどうぞ。
 

<内閣不信任案>衆院本会議で否決
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110602-00000053-mai-pol

 この一昼夜の政局に関して、保守系の掲示板に、こんな感想が書かれていた。
 「最悪の茶番を見せられた気分だ」
 「こんな汚い政治ショーは見たことがない」
 「すげえドタバタ喜劇だ。腹を抱えての大爆笑もんだぜ……これが日本の国のことじゃなきゃな」

 ……そう、「菅首相」という、全く判断が出来ないトップを変えるのに、千載一遇とも思われたチャンスの一つが、潰えてしまった。

 ざっと流れを追ってみる。
 昨日、野党より提出された「内閣不信任案」。

 さらに、六月一日の党首討論。
 ここで、自民の谷垣総裁が過去最高に男を上げたかのような見事な追求ぶりだったのに対し、菅首相は、開口一番に「谷垣総理」と言い間違えをして失笑を買いつつ、「ああ、ほんとにそうなってくんないかなあ」と思わせる一幕もあった。

 その場で、谷垣総裁は、「菅総理が降りれば、大連立も考える」ようなことを語っていた。
 ……誰しも希望を持ったのではないかと思われる。

 自民が連立与党に入れば、被災地の復興は速やかに進むのではないか。
 「震災後、二ヶ月たってもまだ体育館暮らし」なんて、どう考えても異常な事態を強いられている被災者の人たちがようやく救われるのではないか。

 この不信任決議案に、小沢一郎氏が同調した。ついで、鳩山氏が同調。
 あれよあれよという間に、不信任決議案に同調する民主党員が、小沢派・鳩山派あわせて八十議席に迫っていく。

 正直、かなり期待が持てる気がしていた。 いや、このまま順当に行けば可決されていたはずだった。

 だが、まず、一日の深夜、共産党がこの流れから抜けた。(もはや、「筋金入りの野党」、という看板は下ろさねばならない。結局、おなじ共産・社会主義の陣営を応援する、ということか)

 それでも鳩山・小沢の勢いはとまらなかった。可決かどうか、ギリギリのラインでの票読みが続く。
 二日の朝には、「小鳩新党+邦夫」という話がすぐにでも実現しそうな勢いで囁かれていた。

 そこへ、二日の昼前、亀井氏が菅首相に「辞任したらどうか」と話し合いを持つ。
 菅首相は、「秋以降に辞任を考える」「復興に目処が付いたら辞任を考える」と、声明を発表。
 ポイントは、秋に辞任、ではなくて、秋より後、つまり、夏いっぱいは石にかじりついてもやりますよということであろう。

 ……これには、当家で、朝から「菅さん降ろしても、自民が責任取れるかねぇ」と、ワイドショーに洗脳されたようなことを言っていた母までもが「見苦しいにもほどがある」と激怒していた。

 ネットでは、「ウランの半減期は二万六千年だからな~。目処がつくっていったら、菅さん、二万年ぐらい総理やる気だぞ」という書き込みがされていたが、笑っている場合ではなかった。
 
 それを受けてか、さらに、開会の三十分から一時間ほど前に、突然、鳩山氏が、主張を曲げて正反対のことを言い出したのだ。
 これには正直、マスコミ(という名の民主党・大応援団)も開いた口がふさがらなかったらしく、報道が混乱していた様子だった。 ……なお、当家の実母は「ハトヤマぁぁっ!」と、ここで鳩山氏に呆れ果て、政局を追うのをやめた様子だった。

 どうやら、菅総理と鳩山氏の間には、以下のようなやりとりがあったらしい。
http://www.mbs.jp/news/jnn_4740888_zen.shtml
の記事に詳しいが、
 『代議士会の前に総理官邸を鳩山前総理が訪れ、「確認事項」と書かれた文書を持ってきた。』とあり、この文書はテレビに大写しにされたが、
『1,「民主党を壊さないこと」
2,「自民党政権に逆戻りさせないこと」、
3,「大震災の復興並びに被災者の救済に責任を持つこと」』
 とある。
 (……てめェの党の安否が第一で、震災の復興が三番って……こんなのテレビに大写しにして良いのか、マスコミ応援団!)
 そして、「復興基本法案と、2次補正編成の目途がついたら菅は退陣する。夏より前になるだろう」というような話し合いだった、ということである。

 ともかく、これを信じて、鳩山氏が寝返った。
 ついで小沢氏ときわめて仲のよろしいはずの原口氏までもが不信任案否決を表明。
 最後に、小沢氏が、勝負を降りた。
 思わず、「ちょっと待て! 小沢氏の呼びかけに応じて、不信任案可決票を投じるために要職の辞任届を出した人たちはどうなった! 三宅議員とか、病院から連れてこられた議員もいただろうが!」と叫び出しそうになったが、小沢氏は負けの見えた勝負に乗ることは避けたのだろう。

 菅首相の表情は一転した。
 亀井氏と逢ったときには顔つきがおかしく、本当に「不信任案可決されたら解散総選挙があるのでは」と思うような情緒不安定な表情だったのが、大勢が決したと見るや、不信任案が出されたというのに、会議の最中に居眠りをしている菅首相のアップが幾度となくテレビに映された。
 ……わかりやすいお人である。

 結局、投票してみると、明確な民主党からの造反は二人。
 横粂議員、松木議員のみが賛成。(筋を通したこの二人の議員に、今後浮かぶ瀬があって欲しいと思わずには居られない)
 全体で欠席・棄権31名。
 きわめて安らかな菅首相の顔と共に、内閣不信任決議案が否決が報じられる。

 ちなみに、キーとなった「秋以降、めどがついたら辞任」であるが。
 上の記事のリンクにもあるとおり、
 さっそく「目処とは、二次補正予算の成立ではない」と言いだしている。(←やっぱり二万年ぐらい首相やる気なのか?)

 ……報道の最後に、テレビ朝日で、「今日1日なんだったんでしょう」と言ったのが印象的だった。

 それにしても、違法献金で追求される寸前に震災、そして今回の口先三寸による不信任案否決。
 ……どこまでも悪運の強い総理だ。

 菅首相に関しては、明日の参議院の問責と、菅総理の違法献金問題がある。
 どちらかで、なんとか降りて頂きたいと思っていたが、この窮地を切り抜けた菅首相のことだ。
 「内閣不信任案否決」を錦の御旗として、どちらも切り抜け、「復興はまだ終わらない」として、長期政権を築く可能性もある。
 ただ、救いがわずかに感じられるとしたら、「二次補正予算案」と「国会の会期延長」という単語を、民主党から引き出せたことだろうか。
 どちらもまともな与党なら、当然やっていることなのだが、民主党は、こんなことでもなければ、被災者のことなど考えもせず、6月22日であっさり国会を閉め、二次補正予算など全く頭になかったと思われる。
 
 まだ日本人は耐えて、耐えて、保守政権が戻ってきたときに、もう一度立ち上がるための力を蓄えてゆくしかない。

 ……ところで、今回、ほとほと嫌気がさした、というか、日本人の真の敵は誰か、ということがはっきり提示されたように思う。

 不信任決議案提出以降の、朝夕の報道番組。それらの人気キャスターやコメンテーターの発言は、「声をからして民主党を応援する応援団」以外の何者でもなかった。
 特に、被災者の人たちをつかまえて、「野党はこんな時に何をしている! 政権の足をひっぱるな」 「誰が総理をやっても同じなんだ! 菅さんのままでなぜいけない!」
 というような言葉を被災者自身から言わせ(質問によってはこれらの解答を引き出すのは簡単だ)、それを延々編集しては流して、自民党を悪者に仕立て上げる態度は寒いものを感じざるを得ない。
 復興が常識では考えられないほど遅れているから、トップに問題があって代えようとしているのだ、という理屈がどうしても通じない。
 食堂でも、病院の待合室でも、フィットネスクラブでさえ、いつもワイドショーが流れていて、そこで
 「民主も菅さんも悪くない! 法案一つ通らない国会が悪い! みんな自民党のツケを払わされているんじゃないか!」
 と、まるで台本でもあるかのように、どのチャンネルの司会者も、同じ言葉を叫んでいて、それを見終わった視聴者が、同じことを口角泡を飛ばして語り合う。

 ……これが洗脳でなくてなんなのか。

 少し前から「海水注入問題」に関して、あまりにひどいマスコミの一致団結した「応援」ぶりが尋常でなく、記事にしてアップしよう、と、書きためていたのだが、ますますこの不信任決議案に関して、マスコミの異常さが浮き彫りになってきたように思う。

 前に、「民主主義は、国民が主役だというなら、国民が「殿様」だ。そして、日本の国民はさしずめ「バカ殿」だ」
 という言論を見かけたことがある。

 しかし、以前、大川総裁は、質疑応答で、「上司が正しい行動をとれないとき、その人に正しい情報が入っていないことがある。正しい情報を入れてやれば、上司は間違わずに行動できることがある」という発言をされたことがある。

 これだけの繁栄を築き上げ、不況にもめげず耐えている国の民である。単なる「バカ殿」であるとは思わない。

 この国をほんとうに脅かす敵は「民主党」や、「某共産国」ではないのではないか。

 ……たとえば、民主党は、次の選挙では泡沫政党への道を歩むだろうし、日本人が本当に国防を考えれば、絶対にこの国はまだ負けない戦力を持っている。

 ならば、日本人の本当の敵は、この国の人々の心をつかんでやまない、テレビ・新聞・マスコミの報道から流されるあやまった見識と、洗脳にあるはずである。

 この洗脳をとくことにこそ、日本の命運を左右する鍵があるのだろうと思いつつ、ことさらに暑くなりそうなこの夏の対策に頭を痛める日々である。

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