2011-10

　保身のために、ヘタしたら九月の総裁選まで、原発稼働を先延ばししかねない野田内閣の答弁。
　恐ろしいことに、自国内だけでなく、対外的な原発の輸出についても、節を曲げ始めた。
　なんと、西村議員に、
　「全世界で今後、原発がどのぐらい作られる計画があるか、ご存知か」
　と聞かれて、野田首相、
　「数十基程度と認識」
　と言っている。
　えええええっ！？
　し、しゅしょうっ、それ、マジですかっ！？
　中国だけでの数字でも数十基だって聞いたような記憶が……。
　……というわけで、正解はこちら。
　【「原発」関連、世界で500基超を新設へ
　3月20日（土）11時49分配信 サーチナ】
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0320&f=business_0320_030.shtml
　……この記事の中頃では、世界原子力協会調べで、2030年頃までに世界で合計500基超の原発新設が見込まれている、という。

　……うわあ。
　思った以上に、野田内閣の認識、世界とズレがあるぞ。
　これほどまでに、世界は原発を欲しているというのに、日本のマスコミの世評だけを気にしている民主党は、世界の要求に対し、十分の一程度しか認識していない。
　やはり英語力のない悲しさだろうか。
　菅内閣が、全く海外に対して報道対策を怠ったがために、津波の映像ばかりが一ヶ月流れ、日本が全て津波に呑まれたように思われて大変な経済的な被害を受けた。
　同様に、今回の野田内閣も、日本のマスコミの動向ばかりを気にされて、海外への目配りが欠けていることが明らかになったのではないか。

　こう書くと、日本の未来に頭を抱えたくなるが、明るいニュースもあった。
　西村議員の口からは、
　「日本の技術は、原子炉の心臓部である圧力容器に関して、継目溶接がないものをつくることができる」
　「海外の五百程度の新規原発の全体・パーツを日本が受注している」
　という話が出てきた。
　をを。よくぞ言ってくださった。
　原発技術は、歴とした日本の誇りの一つである。
　この発言を裏打ちするように、
　日本製鋼所室蘭製作所では、
「原子炉の心臓部の圧力容器は、継ぎ目を極力減らすため巨大な鋼塊をプレスして造る。
　原子炉は大型化しているが、同製作所は世界最大の約６００トンの塊を造る技術を持ち、他の追随を許さない。」
　(http://blog.goo.ne.jp/kohay/e/c4c6a41d932b585f79f57fbdf47b2cb9　さんの記事を参考にさせていただきました)
　という。
　安全性が第一の原子炉で、継ぎ目のない圧力容器を作れる。
　……すごい技術だ。
　こんな技術、どこの国でも欲しいに違いない。いや、アメリカあたりだったら、大いに喧伝して各国に売り込みにとんで歩いているはずである。
　名も知られぬ日本の職人さん達の磨いてきた技術は、世界のエネルギーを供給し、事故を防いで人びとの命を守る、国の尊いお宝の一つである、と思う。
　西村議員が語ったのは、「日本の技術が日本を救う」という、希望そのものだったである。
　だが、ここまで言っても、首相は、
　「国連では、私の発言で、これからガンガン、どんどん原発を輸出をするような誤解があったようだが、そんなつもりはない。検証をしなければ。」
　という答弁をしている。
　……。
　「国連が誤解したんです」って……アナタ……そんなん、国内と事情が違うんですから……これ、まじで、世界の人が聞いたら怒りますよ！　

　……ううむ、この「ドジョウ」、本当に掴めないお人だ。
　だが、ここまで潔く保身に徹しきっているということは、この人は、世論さえ変われば、以外とすんなり流れに乗ってくる人ではないか、という気もするのだ。
　そこに実現党の戦いようがあるのではないか、というもう一つの希望がある。

　実現党は、世論に対しても力が出てきた、と思う。
　たとえば、原発に関する世論調査では、回を追うごとに、狂信的なまでの原発の反対が徐々に陰を潜め、「原発を稼働してくれ」、と言う声が日に日に高まっている。
　日本で、「原発を稼働せよ」と堂々とぶち上げている団体は、ただ一箇所、実現党しかないことを考えると、その影響力は、確実に増していると言えるだろう。
　幸福実現党、いまだ議席を取ってすらいないのに、次から次へとご苦労なことではある。
　が、頼れる政党はほかにない。
　かくして、この貧乏神の倹約政権とも、徒手空拳で戦っていくのだろうなあ、と思わされる国会中継だった。

　……それにしても、国会中継だというのに、突っ込み疲れて頭が痛い。
　麻生さんとか小泉さんの時みたいに、答弁を聞いていて、「をを！」と拍手したくなるような国会、もう一度、見てみたいもんだが……実現党が政権取るまで無理でしょうかねえ、やっぱり。