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2011-12

この冬、スピルバーグを負かした日本のアニメとは(1)

 エル・カンターレ祭に行ったときに、来年の幸福の科学映画の立て看を見てきた。

 来年、幸福の科学では2本の映画が封切られる予定である。
 そのうち一つはアニメ。
 埼玉スーパーアリーナの会場に、そのキャラクターが大きな立て看になって置かれてあった。
 意外だったのは、キャラデザイン。
 登場人物の印象が、まるで、古いロボットもののヒーローのようなテイストに感じられた。だいたい七十年代ぐらいのアニメヒーローのイメージだろうか。
 ……まあ、通りすがりに見ただけだし、アニメは、動いてみなければ分からない。

 だが、これまで、幸福の科学アニメは、スタートしたときは古いアニメっぽかったのが、一作ごとに数年ずつ進化して、「仏陀再誕」で、ちょうど2000年代のアニメに追いついた、という感じがしていて、さらに今回は若い人たちを中心にアニメを創っているときいたので、この「古さ」は意外だった。
 また、大川総裁は少し前に、いまの時代について、「歴史が二十年ぐらい戻った感じ」と言っていた。
 もしかすると、二十年前ぐらいのデザインが、再び若い人の感性に「合う」のかも知れないし、ほかに理由があるのかも知れない。垢抜けない感じはするものの、それが逆に、実直な宗教団体の作るアニメらしい良さとなる可能性はある。(そういえば、「永遠の法」の「霊界ロボット」なんかも、やたら懐かしい、七十年代ぐらいの古いキャラデザインだった)
 そんな事を考えながら、立て看板の脇をとおりすぎた。

 ……というわけで、来年は、会員さんたちもアニメを見に行くことになるだろうと思う。
 来年、幸福の科学のアニメは、いったいどんな日本のアニメの中に競っておかれることになるのか。
 いま、最新流行のアニメはどんなものなのか。
 
 ……じつは、管理人は、つい先日、いま日本で最も流行していて、一部「社会現象化しつつある」と言われているアニメ映画を見てきたばかりなのだ。
 ……興味深かった。
 そこから「いまの時代が何を求めているか」、のようなものが、わずかにかいま見える気がしたので、ここにかいておきたい。

 まず、アニメに興味のない人から見れば、最近はやったアニメというと、「エヴァンゲリオン」ぐらいしかご存じない、というところだろう。
 ところが、この冬、その「エヴァンゲリオン」はおろか、同時期に封切りされた、スピルバーグの三年ぶりの監督で、しかも初の3Dで、初のアニメ映画すらあっさり超えて、日本国内で大ヒットしている作品がでた。

 しかも、その作品、上映館はスピルバーグの新作映画の6分の1しかなかった、というから驚きである。
 会員さんは、四年に一度、映画を応援しているから、映画というものが、上映館数によって観客動員数は大きく変わってくることをご存知だろう。
 ……上映館が少ない、というのは、封切り映画にとって、大変なハンデだのはずである。
 にも関わらず、その作品は、記録的なヒットとなったのだ。すごいものだ。
 そのアニメの名前は「けいおん!」。
 内容は、女子校でバンドをやる、のんびりとした女の子たちの学園生活を描く四コマ漫画。
 二回もアニメ化され、あまりの人気に、一度終了した雑誌連載が再開されている。

 その人気はとどまることを知らず、京阪電車の石山坂本線、東京の山手線の電車で「ラッピング電車」と称して、そのキャラクターが大きく描かれた。
 【京阪電鉄「けいおん!」電車出発 「本気ですごい」と話題に 2011.8.23 20:32(産経)】
 http://sankei.jp.msn.com/life/news/110823/trd11082320370019-n1.htm
(参考までにこちらも  【京阪大津線のラッピング電車は内装まで徹底的に映画「けいおん!」尽くし】http://gigazine.net/news/20110822_k_on_k_han_2/ )

 さらに、一般雑誌の表紙をかざったりもした。雑誌、SPAの表紙はこちら。

 ……ここで、「ああ、バンドのアニメか-、なるほど、若い人が好きそうだ、不良っぽいしなあ」というのは、年寄りの考え。
  確かに昔は、ドラムだのエレキギターをやっているだけで不良扱いされた。ギターケースだのドラムスティックだの持っているだけで、親たちは「子供がぐれた!」と心配したものだ。
 事実、その当時、カトリックの女子校でバンドをはじめた女の子たちが、シスターと衝突して苦しんだ話を知っている。
 ところが、時代は今や変わった。
 このアニメの、バンドをやっている主人公の五人の女の子たちは、全員、まっっったく性格にとんがったところ、つっぱったところがなくて、みんなほのぼの、ふわふわ、のんびり、ごろごろしている。
 彼女たちは放課後になると部室に集まってはバンドの練習はそっちのけでお茶を飲んではお菓子を食べてばかりで、バンド名は「放課後ティータイム」。
 一人だけ後から入ってきた学年が下の後輩だけはしっかり者で、毎回、「先輩、ちゃんと部活して下さい!」と小言を言うのだけれど、先輩たちからマスコットのようにかまわれて、彼女もいつのまにかお茶を飲まされている。
 ……若い女の子たちが主人公なのに、恋愛の「れ」の字も出てこなければ、ぎすぎすした人間関係など一つもでてこない。
 ……努力して何かのコンクールで優勝するという話でもない。
 そこにあるのはただ、暖かで穏やかな友情と、きわめてのどかな学園生活。
 「部費の臨時収入があったのでカメを買ってきてトンちゃんと名付けました」 とか、
 「学校のマラソン大会当日、走り出したものの疲れて、大会の最中に体育着のまま近所のおばあちゃん家でお茶によばれてました」
 という話を、毎回三十分かけてやっている。
 ……ほとんど「サザエさん」のノリに近い。
 出てくる音楽はどうかというと、彼女たちがつくる曲の例を挙げると、
 タイトル「ごはんはおかず」。
 歌詞はというと、
 「ごはんはすごいよ、なんでもあうよ」
 「ごはんはすごいよ ないと困るよ むしろごはんはおかずだよ」(……この曲は映画でも演奏するシーンがあった)
 こんな彼女たちだから、演奏するときも、特別にパンクなかっこうなどするはずもなく、制服のまま演奏したりしている。

 ……こうして内容をあらためて説明すると、大人たちからは
 「……なんでヒットしたの、そのアニメ!?」
  という声が聞こえてきそうだ。
 配給会社の大人たちもそう思ったのだろう、ワーナーが、上映館のワクを、少ししかあけなかったというのも、「こんなの流行らないだろうなあ」と思っていたからに違いない。
 だが、ふたを開けてみると、連日大入り。
 ……そして小生宅でも、エル・カンターレ祭終わった後の土日、小さな子供達にせがまれて、一家で、この「けいおん!」(http://www.tbs.co.jp/anime/k-on/index-j.html)と、スピルバーグ最新作「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」(http://tintin-movie.jp/)
を、二日連続で映画館に見にいくことになった。
 おかげさまで、劇場の入りから、シナリオの内容まで、じっくり見比べることができたのだった。……いや、見比べてみて、驚いた。
 (続きます)

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