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2012-05

今、読まねばならない「日本武尊の国防原論」(4)

 「いまの中国は、1991,92年の日本の状況と似ている」
 この事実は、中国と取引がある日本企業や個人にとっては、かなりショッキングではないだろうか。
 なにしろ、91年と言えば、バブルの象徴のような「ジュリアナ東京」が閉店した年。このあたりで、「バブルの終わり」がイメージ付けられた。
 92年には、路線価(国税庁のつけた、道路に面した土地1平方メートルの評価額)が暴落をはじめた。そして、はっきりと不景気感が社会を覆ったのは、93年ぐらいだっただろうか。
 あの頃の日本が、今の中国であり、日本と同じ道を辿るなら、もうあと1~2年で、中国にバブル崩壊がはっきりと影をおとしはじめ、長い低迷期に入るのではないか、という推測ができる。

 加えて、もう一つ、会員さんの間で話題になっている、三重野さんの霊言の中の大川総裁の言葉がある。
 それは、
 「ここで中国が舵取りを間違えると、まずいことになるだろう」
 という趣旨の発言。
 たとえば、91年の日本は、明らかに舵取りを間違えた。
 日銀の対応に加えて、マスコミは、 当時の日銀の三重野総裁を、「平成の鬼平」と持ち上げただけではなく、『バブル潰し』という名称をつけた。
 戦後の日本が、努力を重ねて世界一に上り詰めようとした正当な汗と涙を、マスコミは「バブル」の一言で片付けて、まるで日本に実力などないのに金儲けに走ったかのような洗脳をかけてしまったのだ。
 その後、日本は、「お金儲けはやはり悪いこと」だという意識に引き戻され、「失われた20年」に突入する。
 では、中国の場合はどうだろう。
 中国が「誤った舵取り」を避けるためには、どのようなことが必要だろうか?
 彼らの商売の問題点とはなんだろうか?
 ……もしもこの質問を、中国と取引したことのある日本人に聞いたとしたら、千差万別の答えが返ってきそうだ。
 なにせ、『中国には巨大なマーケットがある』という甘言にのせられて、中国と取引をした企業は痛い目に会っている。
 彼らは口々に、「中国が真の国際競争力をつけるためには、かなりの意識変革が必要」だというだろう。
 なにせ、中国と付き合ってみれば、
 「技術を盗むのは当たり前」「海賊版は当たり前」「賄賂で動くのが当たり前」「公費流用も平然と行う」「目先のことしか考えない」、「異星人と交易しているようだ」という声もあるほどだ。
 結局、中国が、自国のバブルの崩壊をくいとめたいなら、このあたりの意識を世界標準に合わせてもらわねばならないだろう。
 そして、もう一つ、一国二制度、といってやってはきたが、やはり、全体主義は決定的に経済の自由を阻害するとしか思えない。
 民主主義とは繁栄主義である。
 繁栄主義には、公正な競争がなければならない。
 ところが、全体主義にはそれがないのだ。
 そのため、どうしても正しい繁栄が実らない。
 「そんな状態で土地投機を繰り返すのは、あたかも、地盤がもろい、その上に高層ビルを建てるようなものだ」と言った知人もいた。

 ……はたして、彼らは、この危険に気づいているだろうか?
 二ヶ月前の朝日新聞のネット版では、
【中国、成長目標引き下げ 全人代開幕、7.5%に 2012年3月6日03時00分】
http://digital.asahi.com/articles/TKY201203050736.html
 とある。一見、理解があるようにも見えているが、日本武尊の見立ては違う。
 「習近平は、『中国は少し経済的に後退するかも知れないが、2016年までにはGDPでアメリカを抜き、世界ナンバーワンになる』と、すでに構想している」(p90)
 「習近平は経済に疎い」と言われているが、今回の件については、この経済の足踏みが「一時のことだ」と思っているようだ。
 思えば、バブルの始まりの日本がそうであった。
 やはり、彼らには自覚がない、といえるだろう。
 たとえ自覚があったとしても、あの国に、「全体主義をやめろ」というのは無理な話だし、「モラルを上げろ」と言われても、これまた無理な話だ。
 中国バブルの崩壊は、やはり不可避に近いのではないだろうか。

 ……こうして見ていくと、日本武尊が語った「中国が内部崩壊に至る、二つの原因」のうちの一つ、「経済問題」は、実際、中国にとって大変な難題になりそうであるということがわかる。

 そして、「内部崩壊に至るもう一つの原因」。
 それを日本武尊は、
 「軍部と経済との対立」「政治指導部内での争い」であると語っている。
 この霊言の収録年月日は、2月20日。
 ところが、それから三ヶ月もたたないうちに、すでにその言葉が当たっていることが誰の目にも明らかな動きが、中国に起きた。
 『共産党委員会書記 薄煕来(はく・きらい)氏の失脚』がそれである。
 (続きます)

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