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堅実な挑戦(5)

 うねり。
 この波打つグラフを見ていると、『太陽の法』の第一章を思い出す。
 「生々流転の法則」のところに書いてある言葉を。
 曰く、「すべてのものには、誕生、成長、衰退、消滅の四つのプロセスがある」と。
 「それから逃れることは、この世に存在する何一つ、できはしない」と。
 人がこの世に生まれた瞬間をゼロとして、この世での活動をグラフに表わせ、といわれたら、それは大きな山を描いたグラフのように見えるのではないかと思った。
 おそらくその山を拡大してみると、山の斜面には幾多の小さな山や、谷があるのが見えることだろう。

 万物の一生のみならず、企業の企画、個人の仕事、この世にあるものはすべて、そのプロセスをたどるのではないか。
 たとえば、一つの企画がある。
 企画がスタートする。
 苦労して、形になる。
 世に出る。
 下火になって消えていく。
 会社でもそうだ。事業でもそうだ。
 明日、その会社が、事業が、企画が、どういう展開をみせるかは誰にもわからない。
 不測の事態が起きたり、立ち向かわなければならない障害があらわれたりすることもあれば、個人の努力で変えられる明日もあるだろう。
 だが、結局は、こうした、逆らいがたい四つのプロセス、大きなうねりの中にあることは事実だろうと思う。
 その中で、個人がどう生きていくのか。
 おそらくは、いたずらにうねりに逆らって亡者のように執着を重ねてはならないのではないか。
 たとえば、一つの仕事が始まり、その山を「上る」時は額に汗して努力を重ねなければならない。つらい山道を孤独に上ることで、魂には力がつく。
 頂上に出たら、そこにしか見えない景色や経験を心に蓄える。頂上から見ると、世界はどうなっているのか。次に上るべき山はどんなものがあるのか。それを確認しておく。
  やがて 山を下るときは、頂点に執着せず、頂点を過ぎたことを嘆かず、これまでの知識や経験の蓄積をもっともよい形で人々にお分けして終われるように心を砕きながら、楽しんで下りる。
 そして、また次の「青山」を見つけて上り始める。
 その繰り返しをいくつも体験して、その一生を終えたとき、その人の魂には、たとえようもない美しい金貨が豊かにたまっているのに気づくだろう。
 聖賢たちはそう言っているように思える。

 株価のうねりに対しても、すべきことは、おそらく、同じだ。
 うねりを読む。
 それは、いたずらに未来を予言しようと血眼になることなく、仕手を仕掛けてうねりを捻じ曲げようとすることでもない。
 その波が、いま、どううねっているかを静観する。
 受動的に波の強弱のリズムを感じ取る。
 その波に小さな自分を融合させていくつもりで行い、資金を入れる。
 そのうちに、無理のないところで、蓄えが増えていく。
 繰り返し出てくる、「場帳とグラフ」の修行は、おそらくこれらの集合想念のうねりを、そのクセを感じ取るための、感性をとぎすますための修行ではないかと思う。

 この方法は、大富豪や、あるいは山師などではなく、市井に住まう個人の投資家にはあっている感じがする。
 しかし一回目に申し上げたように、この方法は、意外なまでに知られていない。
 なぜこの方法が広がらないか。
 その理由は、地味で、利益が少なく感じられるからではないか。
 山師から見たら、ちっぽけな利益のために、地味なやり方で盲目的な作業をするなどということがばからしく感じるのだろう。
 そこにある方法論は、投機というよりは、むしろ精神修養的な面がある。
 幸福の科学の書籍から引用を交えながら、その手法をふりかえってみる。

 この方法のスタートは、「平凡からの出発」「自らの平凡性への自覚」だ。
 ……自分には才能がない。だから、グラフと場帳をコツコツつけてみよう。
 そう思う、「発心」から始まるのだ。
 実際、この方法で成功している人の中には、自己流で投資をして破産するような被害を出し、もうこの方法しか頼みの綱がなくなって、とにかく必死にルールを守ってやった人もいると聞く。
 そこからはじまって、
 「孤独のうちに」
 「隙間の時間をつかって」
 「毎日堅実に、規則的に積み上げ」
 「欲をコントロール」し、
 玉帳を見ては「反省」し、
 うまくいったところで「傲慢という魔境を退けて」、自己流の誤ったルールに行かぬように「初心に返り基本を守る」。
 そして、自分の身の丈を知り、自分の身の丈にあった金額、ストレスの少ない資金管理でコツコツと続けていく。
 ちなみに、「」内は、すべて幸福の科学の書籍に出てくる人生修行の方法論だ。
 投機的な魂には魅力が乏しく見えるだろう。
 しかし、二十年近くも日々教えを学び、心がけてきた会員さんには、取り組みやすい方法だろうと思う。
 いや、むしろ、相場という、投機的なイメージのある世界において、かくも美しい道があるのか、と感じ入るのではなかろうか。

 これに加えて、成功した人の決定的な条件を、もう一つだけ挙げてみたい。
 先日出版された『百戦百勝の法則―韓信流・勝てる政治家の条件』に、とある成功者の条件が出てくる。
 ……「自己洗脳にかかっていない」こと。
 この方法においても、これはかなり大きな条件ではないかと思う。
 「自己洗脳」。自分を偉いと思い込むこと。実力もない、努力もしていないのに、自分を偉い人物だと思い込み、上から目線で先生になりたがること。
 こういう人は、巷でたいへんしばしばお見かけする。
 だが、会員さんの中で、この方法で成功した人たちは、概してこのような、「努力の汗をかかずに、簡単に先生になる」ことが嫌いなタイプである、といえる。
 「世の中を公正に客観的に見ようと心がけている人」
 「内なる自己評価と、外から見える相対的評価とのズレが少ない人」
 といってもいいかもしれない。
 なるほど、「自分には才能がある」「自分には実力がある」という根拠のない「自己洗脳」にかかっていると、この地味な手法を完遂することは難しかろう。

 会員さんではないが、例を挙げてみる。
 実は、前回の更新の後で、キヨヒサ氏にメールでごあいさつした。
 メールで、氏のやり方を学んで利益が出たこと、紹介をさせていただいたことと、こちらは宗教政治系のブログであるから、荒れたりすると悪いと思い、urlの記載のみで、直接リンクは貼らないようにさせていただいた、というご報告をも行った。
 すると、氏から返事が来た。
 驚いたことに、拙ブログの氏の紹介記事を律儀に読まれたらしい。
 「利益が出てよかったですね」と、たいへん気さくなお返事を賜り、「直リンクを貼って頂いてもなんら問題ありません」とあり、さらに結びには、
「お互い頑張りましょうね」
 という一文が入っていた。
 仰天した。
 この方は、毎年、億の資産を運用し、何十年も相場収入で生活している専業のプロだ。
 それが、初心者からのメールに、上から目線などみじんもなく、さらりと「お互いがんばりましょう」と、呼吸をするように自然に書いてこられた。
 普通、できるものではない。
 「相場の聖(ひじり)」というものがあるならば、皆さん、こうした境涯なのかもしれぬ。
 成功しても、最後まで、この心を忘れてはならない、と、深く心に学ばせていただいた。

 最後に、この手法を用いている会員さん二名の、昨年の成果をご紹介申し上げる。
 以下は、ブログでの公開の了解を取った、実際の具体的数字である。
 まずA氏。
 前から株をされていた。主婦の方である。
 昨年、このやり方ではじめて株の売買を行った。資金は500万円だという。
 昨年の特定口座年間取引報告書の数字をお教えいただいた。
 譲渡の対価の額(収入金額)-取得費及び譲渡に要した費用の額等=差し引き金額(譲渡取得等の金額)
 8,125,800円-7,996,705円=129,095円 
 利益率 129,095円÷5,000,000万円=2,58パーセント
 源泉徴収税(所得税)\9,032円 株式等譲渡所得割額(住民税)\3,870円
 税抜き後の手取りは116,193円。
 116,193円÷5,000,000円=2.32パーセント
 よって、「利益率は2.3パーセントです」と仰っていた。
 ただし。
 管理人の見るところでは、このパーセンテージはかなり控えめである。
 実は、氏は、マイナスからスタートしている。
 どういうことか。
 氏は、投資法を切り替えるため、昨年の早いうちに、前年度までで「塩漬け」になっていた株を、全部損切りして清算したのである。
 さらに、実際に運用した金額は500万円のうち三分の二くらいだと聞いた。
 だから、この方の場合、実稼働運用資金と損切りの事情を考慮するなら、最低でも、上記の三倍以上の利益率ではないかと思う。
 普段から謙虚で控えめな方なので、そのあたりを考慮に入れる必要がある、と申し添えておく。
 また、たいへん義理堅い方で、この一年間で二度も、
 「紹介していただいた書籍のおかげで利益が出ました。お礼です」
 との言とともに、菓子折りが届いた。
 こちらはあまりのことに愕然として、「本を教えただけなのに、とんでもない、受け取れんですよ」とあわてて連絡するのだが、二度目にA氏は、
 「次回の目標額に到達するまでは、お金を使わないと決めているので、今のうちにお礼をしたいのです。お受けください。学園にも植福させていただきました」
 と答えをいただき、こちらは堅実さに二度驚嘆、ひたすら頭が下がる思いで、その姿勢を範とさせていただきたいと痛切に思った。

 もう一人、B氏。
 B氏はFXの一通貨が専門。
 レバレッジはつねに2.5倍以下(それ以上は自分がストレスに耐えられないため)
 この手法を使って六年目。
 昨年年初の総資金は、38,693,348円。
 (内訳は夫婦分が23,753,930円、ほか家族の分が14,939,418円)
 上記の元手に対し、一年間で出た売買手数料を引いた利益総額は9,066,503円。
 この時点での利益率は23.43パーセント。
 これに対して引かれる正確な税金は確定申告して個々に計算してみないとわからないので、正確な数字として提示できるのはここまで。
 基本的に所得税15パーセントが納税となるわけだが、さらに、B氏夫妻は給与所得者であるので、それに加えて、市民税5パーセントが、今年6月分の給料から毎月、分割で特別徴収される。(一括納税も可能とのこと)
 それを引いた額が手取りとなる。
 二人とも
 「この収穫は自分の実力ではない。ひとえに、アベノミクスのおかげです」という。
 アベノミクスの内容は大川総裁の著作から出ているということは、暗黙の事実である。
 いわば、会員さんにとっては、仏から頂戴したチャンス、というところだろう。
 しかし、そのチャンスに際して、日ごろ、コツコツと毎日自然体で努力している積み重ねが効果をあらわした。
 無理せず、教えに従って努力を続けた結果、「堅実な挑戦」がチャンスに実を結んだ。
 仏神の目から見て、けして悪くない成功の仕方ではなかろうかと思う。

 以上が、今回の投資に関する内容と、ご報告のすべてである。
 会員さんたちにおいて人知れず成就した成功と、おそらくは根気さえあれば、だれでも大黒天になれるであろう方法をお伝えしたく、拙いながら全五回にわたる更新にまとめさせていただいた。
 これらの情報が、いま、必要な人に知られ、どこかにおられる、どなたかの参考になるなら、それに勝る喜びはない。
 「堅実な挑戦」は、今年も続いていく。
 今年もみなさんにとって、よい実りのある年でありますように。
 すべての志正しき人々、志高き人々の「堅実な挑戦」が、一つでも多く、実を結びますように。
 日本の経済が、立ち直りますように。
 そう深く、強く、祈念して、今回のシリーズの更新を終わらせていただく。
 ありがとうございました。

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